角兵衛獅子とは少年が街頭で、逆立ちやとんぼ返りなどのアクロバットを演じるもの。一人で演じる場合も、共演者がいる場合もある。この写真では、3人の少年が組になって演じている。
成人のリーダーがいて、太鼓で伴奏するのが普通だった。角兵衛獅子の起源は、越後(現在の新潟県)である。角兵衛獅子の起源、特にそのトレードマークになっている少年の逆立ちの物語は、どう見ても興味をそそる。
それらの物語によると、角兵衛獅子が始まったのは江戸時代(1603~1868)である。当時、現在は新潟市の一部になっている月潟村では、毎年洪水に襲われて収穫が被害を蒙っていた。収穫が被害を受けると、村人は飢えに苦しんだ。
この村に、角兵衛という百姓がいたが、彼は江戸時代の雄藩だった水戸藩の浪人だった。角兵衛は洪水があっても稼ぎがあるようにと、二人の息子にアクロバットを教え込んだ。これがたちまち村の子供達の間に広がったのである。
その後角兵衛は争いで殺されるが、殺される前に争い相手の爪先を噛み切った。爪先を噛み切られた相手は、知られることなく逃げおおせた。角兵衛の子供達は、父親の仇を見つけ出すには爪先のない男を捜さなければならないことに気付いたが、疑われないように振舞う必要があった。そこで考え出したのは天才的としか言えないやり方だった。二人は自分たちのアクロバットの中に逆立ちを数多く取り入れ、人々の足を気付かれないように調べようとした。これがうまく行ったかどうか、物語は語っていない。
角兵衛が本当にいたのかどうか、また物語にあるような出来事が本当にあったのかはわかっていないが、角兵衛獅子は今でも演じられていて、その中で逆立ちの回数は非常に多い。
角兵衛獅子は時代劇(映画、テレビ、普通江戸時代を舞台にした芝居)によく出て来る。角兵衛獅子を主人公にした「鞍馬天狗 角兵衛獅子」(1951年、左のポスター)という有名な映画がある。この映画に出て来る二人の角兵衛獅子は金を失うが、覆面をした復讐者の鞍馬天狗に救われる。二人は恩を返そうとするが、その時また助けが必要になる。有名な女優の美空ひばり(1937−1989)が子役の一人を演じている。
今では、角兵衛獅子は新潟市南区にある月潟白山神社で、月潟祭の翌日に見ることができる。アクロバットは毎年6月の第四日曜日に演じられる。
日本の街角で演じられたアクロバットは、角兵衛獅子だけではなかった。街角でも、神社や寺でも、数え切れない程のアクロバットが演じられていた。これらのアクロバットの中には、海外で公演したものもあった。ここに紹介するのは、明治37年のそのようなアクロバットの映像。
このグーグルの地図では、この明治時代の写真を撮った場所はわからないが、角兵衛獅子が演じられる月潟白山神社の場所はわかる。
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引用文献
ドゥイツ・キエルト()1890年代・角兵衛獅子、オールド・フォト・ジャパン。2025年02月08日参照。(https://www.oldphotojapan.com/photos/545/kakubeijishi)
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写真番号:70512-0011
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