子供の観客で満員になって、電気照明がある劇場の舞台で演技している俳優達を写した、大変珍しい写真。
右手の奥には二人の演奏者が見える。舞台助手(後見)が一人、舞台前面に座って竿を持っている。もう一人の助手が女性役の男優の後ろに座っている。はっきりと眼に見えるにも関わらず、日本の観客は後見とは「眼に入らないもの」だという考えに慣れてしまっていた。後見が黒い衣装を着けているのが、この見方を助長した。
女性役の男優の隣にある掲示には、「日高川渡し場」と書かれている。これによって、この芝居は元々文楽の出し物だった「日高川入相花王」であるとわかる。

「日高川入相花王」は、安珍という僧侶と恋に落ちた清姫という女性の物語である。安珍は彼女の求愛を退けて、渡し舟の船頭に彼女に日高川を渡らせないようにする。怒った清姫は川に飛び込むと、獰猛な大蛇に変身する。川を渡った彼女は安珍が道成寺の鐘の中に隠れていることを知る。そこで巨大な鐘に巻き付いて、鐘と安珍を火の海の中で焼いてしまう。
道成寺は和歌山県日高郡日高川町に現存する。「日高川入相花王」は人気のあった芝居で、清姫と船頭の場面は数多くの浮世絵に見られる。
このビデオクリップは、原作の文楽の出し物の一場面を見せる。
脚注
1 この写真の出所は未だ特定できないが、ネガには770番と書かれている。
2 日本の劇場について更に知りたい場合は、日本の国立劇場のサイトを見られたい。
3 冨田人形共遊団は「日高川入相花王」を演ずる幾つかの文楽劇団の一つ。無形文化財にしていされている。お問合せ:冨田人形会館。〒526-0131滋賀県東浅井郡びわ町富田758番地。電話:0749-72-5257。
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引用文献
ドゥイツ・キエルト()1900年代・劇場の公演風景、オールド・フォト・ジャパン。2025年07月17日参照。(https://www.oldphotojapan.com/photos/463/gekijo-no-koen)
ライセンス可能
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写真番号:70606-0009
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